この記事では、2014年に世界遺産に登録された群馬県にある「富岡製糸場」についてご紹介します。
明治初期の姿がほぼそのまま現存している貴重な施設で、東京都内から約2時間30分で行けるということで、気軽に世界遺産に触れることができます。
本文では富岡製糸場やちょっと足を伸ばしていけるモデルコースについてもご紹介します。
【世界遺産】富岡製糸場の歴史
富岡製糸場は、今から140年以上も前の明治初期に、日本政府が初めて国の管轄として作った工場です。
工場の敷地は55,391.42㎡という広さを誇り、当時の建物をはじめとする多くの文化財がそのまま残っていて、まるで明治時代にタイムスリップしたような感覚になります。
明治維新後の日本は、外国と対等な立場で戦うためにもお金が必要だったため、その資金を集める方法として、生糸の輸出拡大が効果的と考えられました。
当時日本の生糸生産は、海外に高く評価されていたこともあり、フランスから技術者ポール・ブリュナ氏を招きいれ、工場建設地の選定から建築まで全てを一任しました。
ポール・ブリュナ氏が日本にもたらしたフランスの建築技術と、日本の独自の工法が融合した富岡製糸場は、のちに世界最大規模の製糸工場として、世界の絹産業発展や絹の大衆化に貢献してきました。
1987(昭和62)年の操業停止までの115年の間、製糸場は稼働し続けました。
富岡製糸場を作った人
富岡製糸場の設立にあたっては、当時、明治新政府の大蔵少輔であった伊藤博文や、大蔵省租税正の渋沢栄一が担当となって計画が進められました。
農家出身で蚕桑や蚕種に詳しかった渋沢栄一は、富岡製糸場設置主任に任命され、工場建設の現場を取り仕切った尾高惇忠、資材調達を任された韮塚直次郎らと共に、官営製糸場の設立に尽力しました。
世界遺産登録は3か所
2014年6月、生糸の大量生産を実現した「技術革新」と、世界と日本の「技術交流」に貢献したとして、「富岡製糸場と絹産業遺産群」が、世界遺産に登録されました。
富岡製糸場とともに登録された絹産業遺産群は、ほかにも近代養蚕農家の原型である「田島弥平旧宅」(伊勢崎市)、国内外に養蚕の技術を広めた「高山社跡」(藤岡市)、蚕の卵の貯蔵施設「荒船風穴」(下仁田町)の3ヵ所あります。
富岡製糸場の見学時間は60~90分程度予定するのがおすすめ
タイミングが合えばガイドツアーに参加するのがおすすめですが、タイミングが合わない場合はご自身で富岡製糸場の敷地内を回ることになります。
ガイドツアー
ガイドツアーは、ツアーは1日6回開催されていて、約40分かけて場内を案内してくれます。
- 料金:大人200円、中学生以下100円
- 集合時間:9:30、10:30、11:30、13:00、14:00、15:00
もしタイミングが合わなくても無料の音声ガイドや、最初に訪れる「東置繭所」で放映されている映像も詳しく解説してくれるので、富岡製糸場のことを分かった上で回ることができますよ!
見どころ①:東置繭所(国宝)
富岡製糸場の敷地に入って真正面にあるのが、富岡製糸場が操業を開始した1872(明治5)年に建てられた巨大な繭倉庫。
南北に続く建物は長さ104.4mもあり、倉庫でありながら窓が多いのが特徴となっています。
当時2階では乾燥させた繭を貯蔵し、1階は事務所や作業場として使用していて、現在は1階には製糸場の歴史や仕組みがわかる展示場やショップがあります。
「フランス積み」という壁の煉瓦長い煉瓦と短い煉瓦が交互に積まれている壁にも注目です。
見どころ①:繰糸所(国宝)
長さ約140mもある巨大な工場は、繭から生糸を取る作業が行われていました。
1872(明治5)年に建てられ、現在は国宝に指定されています。
創設当時はフランスから導入した金属製の繰糸器300釜を設置され、世界最大規模を誇る器械製糸工場でした。
ここでは300人の工女が一度に作業できたそうです。
当時は電気がなかったので、日当たりのいい南側に工場が建てられ、日本では珍しいガラスの窓が天井近くまで取り付けられ、作業がしやすく設計されています。
現在ここに残されているのは、昭和41年以降に設置された自動繰糸機。
1987年の操業停止時の状態で保存されています。
工場に入った瞬間に明治時代に昨日まで女工さんが作業していたのではないかというくらい、タイムスリップした気分になります。
見どころ②:西置繭所(国宝)
明治5年に東置繭所や繰糸所とともに建てられた西置繭所。
東置繭所と同様に2階は繭を貯蔵していた建物で、明治から昭和にかけて115年にわたり繭倉庫として使われ続けました。
2020年10月にリニューアルされ、ギャラリーや、繭が貯蔵されていた様子なども再現されていました。
見どころ③:首長館(ブリュナ館)
1873(明治6)年に建てられた、製糸場建設の指導者ポール・ブリュナ氏が家族と暮らしていた住居で、重要文化財となっています。
最も陽当りの良い南の陽当りの良い場所に建てられていて、通常時は非公開となっているため内部の見学はできませんが、床面積は320坪だけあって、外観だけでも見ごたえがあります。
見どころ④:診療所
製糸場内には設立当初から診療所と病室が設けられていました。
現在残るのは3代目の建物で、中廊下の両側に診療室や看護室が並び、病室は8〜10畳の部屋が5室あります。
富岡製糸場で働く女工さんたちは、医療サービスが提供され、読み書き、そろばん、裁縫を学べる夜間学校といった場も与えられました。
また明治時代ではまだなかった、1日8時間労働、日曜休暇など福利厚生も充実していました。
富岡製糸場で買えるお土産
東置繭所には、富岡製糸場のオリジナルグッズや絹を使った商品を購入することができます。
富岡シルク石鹸。
富岡製糸場のレンガと同じ大きさの箱に入った「工場さんも愛したカレー」
シルクサブレ。
種類は多くはありませんが、どれも富岡製糸場らしいお土産ばかりで、目移りしちゃいました。
富岡製糸場の基本情報・アクセス
営業時間 | 9:00~17:00(最終入場16:30) |
定休日 | 年末(12月29日~31日) |
料金 | 大人1,000円/高校・大学生250円/小・中学生150円 |
住所 | 群馬県富岡市富岡1 |
電話 | 0274-67-0075(場内総合案内所) |
駐車場 | なし ※近隣の市営駐車場やコインパーキングをご利用ください |
アクセス | ■車で 上信越自動車道 富岡ICより各駐車場まで約10分、駐車場より徒歩約10分 ■電車で 上信電鉄 上州富岡駅よりタクシー約3分 |
富岡製糸場周辺の観光モデルコース
- 草津温泉
- 伊香保温泉
- こんにゃくパーク
- 川場農園(道の駅)
富岡製糸場を見学した後は、足を伸ばせば温泉や、2022年に日本一の道の駅として人気の「川場農園」などにも行くことができます。
そのため、日帰りで観光をしたいという方は、車で移動するのが個人的にはおすすめです。
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この記事のまとめ
この記事では、世界遺産富岡製糸場についてご紹介しました。
関東にお住まいの方は日帰りでも気軽に訪れることができますし、おすすめの観光スポットです。
ぜひ次のお休みに出掛けてみてくださいね。