「親と一緒に温泉旅行を楽しみたい」
「車いすでも入れる温泉宿を探したい」
そう思って調べ始めても、宿の紹介にある「バリアフリー対応」だけでは、実際にどこまで利用できるのか分かりにくいものです。
宿選びで大切なのは、本人がどの場面で手助けを必要とするかを考え、客室から浴場までの移動や入浴方法を確認することです。
この記事では、高齢の方や歩行に不安がある方、車いすを利用する方が、温泉宿を選ぶ際のポイントを紹介します。
まずは「どのように入浴したいか」を考える
温泉宿には大浴場のほか、貸切風呂や客室風呂などがあります。
移動や着替えに不安がある場合は、浴場の設備とあわせて、本人が落ち着いて入浴できる方法を考えてみましょう。
| お風呂の種類 | 確認したいこと |
|---|---|
| 大浴場 | 客室からの距離、途中の段差、脱衣所や浴室の手すり、浴槽への入り方 |
| 貸切風呂 | 車いすで入れるか、脱衣所の広さ、利用時間、追加料金 |
| 客室風呂 | 浴槽のまたぎやすさ、手すり、温泉かどうか、同行者が介助できる広さ |
たとえば「貸切風呂あり」と書かれていても、浴槽の縁が高かったり、入口に段差があったりする場合があります。お風呂の種類だけで判断せず、入口から浴槽までの動き方を確かめることが大切です。
バリアフリーの温泉宿を選ぶ5つのポイント
バリアフリー対応と書かれた宿でも、客室や浴場の設備、館内の移動のしやすさは異なります。本人が普段どのように歩き、どんな手助けを必要としているかを踏まえ、次の5つのポイントを確認しましょう。
ポイント1.玄関から客室まで無理なく移動できるか
最初に確認したいのは、駐車場や送迎車の乗降場所から客室までの経路です。玄関に階段がないか、館内にエレベーターがあるかを調べましょう。
車いすを利用する場合は、スロープの有無に加えて、通路やエレベーターの幅も確認すると安心です。歩行に不安がある方なら、館内の移動距離や途中で休める場所も選ぶ目安になります。
ポイント2.客室の中で過ごしやすいか
「バリアフリールーム」「ユニバーサルルーム」という名称の客室でも、設備は宿によって異なります。
特に次の点を確認しましょう。
- 客室の入口や室内に段差があるか
- ベッドからトイレまで移動しやすいか
- トイレに手すりがあるか
- 車いすでベッドの横まで近づけるか
- 布団ではなくベッドを利用できるか
足元が不安定な方は、床に近い布団からの立ち上がりが負担になることもあります。普段の生活に近い姿勢で休める客室を選ぶと、旅先でも過ごしやすくなります。
ポイント3.脱衣所と浴室の設備を確認する
温泉旅行では、客室が使いやすくても、浴場に段差があって入浴が難しい場合があります。
浴場については、入口から脱衣所、洗い場、浴槽まで順番に確認しましょう。
特に、浴槽をまたぐ動作に不安がある場合は、手すりや入浴用のいすがあるか、浴槽に入りやすい造りかを事前に確認しておくと安心です。設備があっても、本人の身体の状態によって使いやすさは変わります。
ポイント4.食事の場所とトイレの使いやすさを確認する
食事会場が客室から遠かったり、途中に階段があったりすると、移動が負担になることがあります。
食事会場を利用する場合は、テーブル席の有無や、車いすのまま食事ができるかを確認しましょう。移動が心配なら、部屋で食事を取れるプランを選ぶのも一つの方法です。
また、館内の共用トイレを使う可能性がある場合は、その場所や手すりなどの設備も確認しておくと安心です。
ポイント5.必要なサポートを受けられるか確認する
送迎や荷物の運搬、車いすの貸し出しなど、宿が対応できる内容はそれぞれ異なります。
また、バリアフリー対応の宿でも、入浴や移乗の介助を受けられるとは限りません。介助が必要な場合は、同行者で対応できる範囲を考えたうえで、宿に依頼できることを事前に確認しましょう。
予約前に宿へ伝えておきたいこと
予約サイトの写真や設備一覧で候補を絞ったら、予約前に宿へ直接問い合わせると、本人に合うか判断しやすくなります。
たとえば、杖を使えば短い距離は歩けるものの、階段や浴槽をまたぐ動作に不安がある場合は、そのことを伝えたうえで、客室から貸切風呂までの段差や浴槽の手すりについて確認しておくと安心です。
車いすを利用する場合は、常に車いすで移動するのか、短い距離なら歩けるのかも伝えるとよいでしょう。「車いす利用」とだけ伝えるより、必要な設備を確認しやすくなります。
予約時には、次の項目を聞いておくと安心です。
- 希望する客室や浴場までの経路に段差はあるか
- 車いすで通れる入口や通路の幅は十分か
- 浴槽への出入りに使える手すりやいすはあるか
- 貸切風呂の予約方法、利用時間、料金はどうなっているか
- 送迎や車いすの貸し出しは利用できるか
設備の説明だけではイメージしにくい場合は、客室や浴場の写真を見られるか尋ねるのもよいでしょう。
温泉を楽しむために、入浴の予定には余裕を持とう
旅行中は移動だけでも疲れやすくなります。到着後すぐに入浴する予定を詰め込まず、休憩してから本人の体調に合わせて楽しみましょう。
高齢の方は、脱衣所と浴室の温度差や、熱いお湯による体への負担にも注意が必要です。
入浴前に体調を確認し、無理のない範囲で温泉を楽しみましょう。
バリアフリーの温泉でよくある質問
バリアフリー対応の温泉宿を探す際は、車いすでの入浴や客室の設備など、気になることも多いでしょう。ここでは、宿選びや予約前によくある質問にお答えします。
足が不自由な人も利用しやすい温泉宿を選ぶポイントは何ですか?
客室から浴場や食事会場までの移動経路と、入浴のしやすさを確認しましょう。
段差や階段の有無、手すりの位置に加え、浴槽をまたいで入れるかも大切なポイントです。本人が歩ける距離や必要な手助けを宿に伝えると、利用しやすいか判断しやすくなります。
車いすのまま温泉に入れる宿はありますか?
車いすのまま浴室へ入れる宿はありますが、一般的な車いすでそのまま湯船に入れるとは限りません。「浴室まで車いすで移動できるか」「浴槽へはどのように入るか」を分けて確認しましょう。
露天風呂付き客室や介護リフトがあれば、安心して入浴できますか?
設備があっても、浴槽までの段差やリフトの利用条件によって、使いやすさは異なります。予約前に写真や設備の詳細を確認し、本人の身体の状態に合うか宿に相談しましょう。
まとめ|「バリアフリー」の表示より、使い方に合うかを確認しよう
安心して泊まれる温泉宿は、設備が多い宿とは限りません。
大切なのは、本人が客室で過ごし、食事を取り、希望する方法で入浴できるかを具体的に確認することです。
まずは本人に「どんな温泉旅行なら楽しめそうか」を聞いてみましょう。そのうえで宿に移動経路や浴場の設備を問い合わせれば、本人にも同行する家族にも無理の少ない旅を計画できます。